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工業分野で応用される紫外線ランプの特徴と用途

単に紫外線といえば太陽光を思い起こすことが多く、例えば人体に悪影響を及ぼすなどマイナスイメージで語られることがあります。かたや太陽光を浴びることによって、体内にビタミンDが生成されるなどプラス面の効果があることも知られています。
いっぽう工業分野においても、紫外線を応用した様々な技術が普及しており、私たちの生活にリンクしているのです。
この記事では「工業分野で応用される紫外線ランプ」を解説すると同時に、その将来性や次世代技術となるLEDについても言及していきたいと思います。

紫外線の特性と応用技術

ここでは「紫外線」という波長がどのようなものなのか、またどのように工業技術として応用されているのかを、詳しく解説していきます。

紫外線とはどのような波長?

「光の波長」というのは、その電磁波の長短によって大きく3つに分類されています。
波長が短い順に「紫外線」「可視光線」「赤外線」となります。その中でも紫外線は、自然界の中ではほとんどがオゾンや酸素分子によって吸収され、地表へ届くものはごくわずかです。

可視光より短い電磁波

紫外線は「UV(Ultra Violet)」という略称でも知られています。可視光線が400〜770nm程度の波長だとすると、紫外線は100〜400nm程度の短い波長であり、人間の目では見えない光なのです。
さらに、紫外線においても波長の違いによって3つに区分されています。UV-C(短波長紫外線)、UV-B(中波長紫外線)、UV-A(長波長紫外線)となるわけですが、このうちUV-Cはほとんど地表へ到達することはありません。
ちなみにUV-Cは殺菌技術として活用されることの多い紫外線なのですが、自然界の中でほとんど存在しない以上、人工で作り出す以外にありません。

紫外線を使った応用技術<殺菌>

次に紫外線を応用した工業技術を紹介していきましょう。波長の短いUV-Cを用いることによって、環境に負荷が掛からずコストメリットもある殺菌効果が期待できます。
特に食品製造や製薬の分野で広く活用されている技術です。

殺菌のメカニズム

細菌も含めてすべての生物の細胞内には、DNAという遺伝子情報を司る核酸が存在しています。そして紫外線を照射するとDNAはその光を吸収し、傷ついてしまうため、ついには細胞の新陳代謝に支障をきたしてしまうのです。
細菌は代謝能力や増殖能力がなくなることで不活性化し、及ぼす弊害やリスクも限定的となります。
一般的には260nm付近のUV-Cを効率的に照射できる低圧水銀ランプや、殺菌ランプなどが用いられています。
紫外線を使った殺菌方法にはいくつかあるのですが、主に「空気殺菌」と「流水殺菌」が知られています。他に製品や原料などに直接紫外線を照射して殺菌する「表面殺菌」などがあります。

空気殺菌

まず空気殺菌という方法は、空気中に漂っている細菌に紫外線を直接照射し、空気の対流を利用することで室内全体の殺菌効果をアップさせるものです。
空気の対流をより効果的にするため、強制的にファンを回して空気を循環させる場合もありますし、外気を取り込みつつ殺菌を行う専用の殺菌機も存在します。
しかし室内には作業者が存在していることが多いため、その安全性に関しては紫外線を直接暴露させないなど十分な配慮が必要となります。

流水殺菌

水の中に存在する細菌やウィルスを不活性化させる方法が流水殺菌です。装置の外部から紫外線を照射する外照タイプと、内部から照射させる内照タイプがあるのですが、殺菌効果の高さと使い勝手の良さから、内照タイプのほうが普及しているようです。
殺菌槽と呼ばれるスペースの中に水を取り込み、装置内部に設置された紫外線ランプで殺菌するという方法となっています。
流水殺菌は古くから用いられてきた殺菌法ですが、ランプの大型化や複数化などによって処理量が格段に大きくなり、工業分野において広く活用されることとなりました。

紫外線を使った応用技術<UV硬化技術>

次に紫外線を使った工業技術として、「UV硬化技術」をご紹介します。軟性のある特殊樹脂材料に紫外線を照射することによって、歯科材料や瞬間接着剤など様々な工業製品を作り出すことが可能なのです。

UV硬化技術のメカニズム

UV(紫外)硬化樹脂に紫外線を照射すると光重合反応が起こり、分子量の小さな物質(モノマー)同士が結合して大きな分子量(オリゴマー)となります。やがて融点が上昇することでより大きな分子量(ポリマー)となり、樹脂材料全体が硬化していく仕組みとなっています。
樹脂材料によって反応する紫外線の領域や、硬化する時間などが左右されますから、光源を含めた照射装置と硬化材料の組み合わせは適切でなければなりません。

UV硬化樹脂とその特徴

一般的な合成樹脂として「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」が知られていますが、いずれも温度変化や熱を加えることによって生成されます。
その点、紫外線硬化樹脂の場合は熱も必要ありませんし、有機溶剤を空気中に拡散させる心配もありません。そういった意味では低公害で効率性の良い材料だと言えるでしょう。
また圧倒的に硬化時間が短いということもポイントです。低温硬化が可能ですから、熱に弱い基板などをコーティングすることにも向いているのです。

紫外線ランプの種類

実際に様々なシーンで活用される紫外線ランプを具体的に紹介していきましょう。また次世代の紫外線ランプとして期待が高まっているLEDなどの光源も合わせて説明していきます。

多目的に用いられる紫外線ランプ

紫外線ランプは「殺菌」や「UV硬化」といった用途以外にも、多くの場面で用いられるランプです。鑑定用や虫を集める用途などにも活用されています。

ブラックライトブルー

ブラックライトブルーは、可視光線領域の光を透過しない特殊なガラスが使用されており、近紫外光のみを発します。
300nm付近の波長を多く出していて、肉眼では見えない化合物や鉱物などの鑑定や判定に用いられますし、狂犬病の汚染鑑定としても利用されます。

ブラックライト

ブラックライトは300〜400nm付近の近紫外光を最も多く放出しており、UV硬化用途としても利用されますが、一般的には捕虫器用光源として広く出回っています。
昆虫の目が最もよく感じるのは近紫外光と呼ばれる波長域と青色光ですから、同じ波長を出すブラックライトは、まさに虫を呼び寄せる光源として最適なのです。
店舗や駅・食品工場などで、電気式や粘着テープ式といった捕虫器をよく見かけることがありますね。

殺菌用紫外線ランプ

紫外放射による殺菌作用の極大点は260nm付近にあるとされているため、この領域の紫外線を最も多く放出するランプのことを殺菌ランプと呼んでいます。
実際に多くの殺菌装置に組み込まれているランプは「GL」という型番となり、JIS規格で統一された口金(G5またはG13)となります。海外製の殺菌装置を使用されている場合、交換用殺菌ランプの入手が困難になることも考えられるため、納期や価格にまで留意しておいたほうが良いでしょう。

UV硬化用ランプ

UV硬化用ランプとして、広く高圧水銀ランプやメタルハライドランプが使用されています。どちらも構造は同じなのですが、メタルハライドランプの方は発光管の中にハロゲン化合物が封入されているため、200〜450nm付近の幅広い紫外線を発することが可能です。
しかしながら水銀汚染防止に向けた水俣条約批准に伴い、すでに高圧水銀ランプの製造・輸出入ができなくなっており、メタルハライドランプに関しても将来的な環境への負荷低減という観点から、製造・輸出入が今後どうなるのか見えていない状況なのです。

紫外線カット蛍光ランプ

ここまでは紫外線を出すランプばかりをご紹介しましたが、特定の紫外線領域の波長を出さないランプも存在しています。
街灯の蛍光灯などに昆虫がたくさん寄ってくるシーンが思い浮かびますが、紫外線カット蛍光ランプは、昆虫が強く感じる波長をカットしているため、虫が寄りにくい構造となっています。
また光色も、一般的な白色光や昼白色光ですから違和感がなく、例えば食品関連の店舗や工場などで広く活用されています。

紫外線ランプの代替となるLED

今後、次世代の紫外線光源に関してはLEDが主役となるのではないでしょうか。
一般ランプや水銀ランプの環境負荷や需要減退に伴って、一般照明分野ではすでにLED照明に役割を取って代わられつつありますし、従来のLEDは「紫外線を出さない」とされてきたものの、紫外線放射を可能にしたUV-LEDの登場によって大きく環境が変化してきたからです。
長寿命かつメンテナンスフリーというメリットを活かしたUV-LEDは、おそらく従来光源に代わる新しい技術として普及していくと考えられます。

紫外線による劣化にも対応できる朝日ラバー製品

紫外線ランプは様々な分野で活用されているわけですが、波長の短い紫外線になるほど人体だけなく、環境などに悪影響を及ぼす場合があります。
殺菌・UV硬化装置周辺にある合成樹脂などは、強い紫外線によって劣化し、脆くなってしまいます。紫外線に対して強い耐性を持つ樹脂といえばフッ素樹脂やシリコーンなどが知られていますが、フッ素樹脂はコストが高くなってしまうというデメリットがあります。
いっぽうでシリコーンは紫外線や高熱に強く、成形の段階で様々な形状に対応しており、またコストを抑えることも可能です。
例えば朝日ラバー製の「白色シリコーンインキ」は紫外線を効率よく反射しますし、強力な深紫外線を発する紫外線ランプ及びUV-LEDの反射部材、基板等に塗布することで、製品そのものの劣化を軽減し、信頼性を保つことが可能です。

紫外線による影響を受けやすい部材に関しては、これも朝日ラバー製の「白色シリコーンインキ」で対応が可能です。単に鋼板に白色塗装を施したり、樹脂部品を使用するだけでは劣化は避けられません。「白色シリコーンインキ」はLED関連製品の高反射材料として開発され、95%以上の反射率を持つ塗料ですから、LED反射板やLED素子基板についても有効に活用できるでしょう。

さらに、「ASA COLOR LENS」は無機ガラス以上に透過性が高く、紫外線領域を問わず透過します。また耐紫外線性についてはUV-A波長領域の影響を受けにくいため、UV-AのLED市場ではシリコーンレンズが選定される事例が多く存在します。

朝日ラバーでは、UV-LEDをはじめとする様々なLEDに対応した光学設計・試作等を承っています。お困りの方はぜひ弊社ホームページまでご相談下さい。

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